特集

シリーズ〜県内企業のIT戦略(4)

   『県内企業のIT戦略』の第4回目は、生産地より選りすぐりのシャクナゲの鉢植えを中心
に、ネットによる鉢植えの直送販売を行っている「Green Supply(グリーンサプライ):
(有)香花園」と、インターネットを活用した宿泊予約サービスを行っている「株式会社ホテ
ル汐美荘」をご紹介いたします。



〜生産地より選りすぐりの鉢植えをネットで直送販売〜
Green Supply:(有)香花園 (新津市)


電子商店が柱の一つに

 明治末期から大正中期まで「石油のまち」として栄えた新津市。今では、「花いっぱ
いのまちづくり運動」を進めており、国道403号線は7キロのフラワーロードとして、四
季折々の花が、ドライバーを楽しませてくれる。そんな新津市の信濃川流域にある
(こあい)地区は、古くからチューリップの特産地として、また、花卉花木の生産地とし
ても全国的に有名な地域である。
   今回取材した有限会社香花園(こうかえん)さんは、県下はもとより日本全国の園芸
業者等と取引し、自社ホームページであるGreen Supply(グリーンサプライ)」を手掛け、
シャクナゲ、ツツジを中心に花卉花木を生産している企業である。同社ホームページ
Green Supply(グリーンサプライ)」は、選りすぐりのシャクナゲ・ツツジの鉢植えを直送
販売している電子商店であり、ホームページを開設してから現在に至るまで、月平均
約2,000件のアクセス件数がある。「取り扱っているシャクナゲ・ツツジ等の品種数
120種類以上!」とサイトコンセプトにあるように、ホームページ上の膨大な商品カタログ
を見ていると時間の経過を忘れてしまうほどである。

  Green Supply(グリーンサプライ)の売上は、正
直なところ当社の総売上からみると微々たるもの
ですが、開設以来、確実に伸びています。卸売に
比べて直接消費者の方と取引を行うので、いろい
ろな面で勉強になることばかりです」と同社近藤
専務は説明している。2年前に新しい試みとして
チャレンジしたホームページの開設は、今では経
営上の重要な柱の一つとして成長している手ごた
えが感じられる。
                                            写真は近藤専務

     
   
  ホームページ「Green Supply」
  http://www.gsy.co.jp/ 
 


ネット販売進出のきっかけ
   近藤文明専務は、農業大学校卒業後、当時稲作との兼業農家だった家業を「園芸
専業」とすることを条件に家業を継ぎ、現在に至っている。ネット販売の進出は、平成
11年9月に法人化に伴い、自社の広告・宣伝を図るために弟さんと共同で立ち上げた
ホームページを開設したことがきっかけである。
   近藤専務によれば、他の同業者よりもいち早くネット販売に進出した狙いは、@他の
同業者がネット販売を始める前に、マネのできないノウハウを作りたい、Aホームペー
ジを通じて「シャクナゲ」や「ツツジ」をもっとよく知って
もらい販売ルートの拡大につながってほしい、B生産
者として知ることができない「消費者の生の声」を聞き
たかった、ことなどである。
   ホームページを開設し、「Green Supply(グリーンサ
プライ)」としてネット販売を始めた当初は、同業者か
ら特異な眼で見られる事が少なくなかったようだが、
現在では同社の様にホームページを開設する同業者
が少しずつ増えてきているそうだ。
 


ホームページ運営上での特長
  Green Supply(グリーンサプライ)」で実際に購入しているお客様は、30、40歳代の
方が約7割を占める。地域は関東方面、特に栃木、茨城、東京の方が多いそうである。
同ホームページでは、「育成方法コーナー」で品種別に丁寧に情報提供がなされている
など、購入者以外の問い合わせについてもできる限り親切に対応しており、
好感が持てるサイトとなっている。リンク集も「花に関するリンク集」と銘打ち、
大変思い入れのあるものとなっているように感じられる。 
   「ホームページのメンテナンス等は、私と弟の2人ですべ
て管理しているので、参考となる意見があれば、
すぐにホームページの運営に反映させるように
しています」と近藤専務。出荷最盛期にはこまめに在庫状況
をチェックし、週に数回のペースでメンテナンスを行っている。


今後の展開について
   他の園芸業者のホームページは、そのほとんどが業者販売向けのものが多く、Gre
en Supply(グリーンサプライ)」のようにエンドユーザーへの直接販売を考えて作られて
いるものは少ない。同社にとってネット販売は、シャクナゲ、ツツジなどの開花の最盛期
にお客様へ届けることができ、反応がダイレクトに伝わってくるメリットがある。また、同
社ではネット販売はあくまで広告・宣伝の一環として継続していくとの事だが、今後は全
国の取引先等とのパイプの強化、ネット販売を含めた小回りの効く営業活動で自社の
アピールを行っていく方針だ。
   園芸業界における外部環境は、異業種や大企業の参入により、市場価格の低下、
競争の激化が予想される。しかし、「花卉花木の生産には最低3年間は必要です。また、
相当なノウハウも必要となるため、生産に関しては、誰でも簡単に市場参入できるとい
うものではありません。これからはGreen Supply(グリーンサプライ)のブランドをより強
固なものにして行きたいと思います」と近藤専務は力強く語ってくれた。 


取材を終えて

   新潟県の「県の花」であるチューリップが大正初期に、この新津市小合地区で日本で
最初に商業栽培に成功したと知りました。ハウスの中には、出荷を待つたくさんのシャ
クナゲやツツジ等の花卉がつぼみを膨らませ、春の開花時期を今を遅しと待っている
かのようでした。
   生産者の方々は、地道な作業や苦労も多いと思います。今回の取材を通して、新し
いことにいち早くチャレンジし、情熱を持ち続ける有限会社香花園さんには、さらなる
成長・発展を期待させる自信の響きが、お話の中に強く感じられました。
 
               (取材:中小企業診断士 大滝勇一    協力:中小企業診断士 中村公哉)  

<Green Supply:(牛♂ヤ園)の概要>

   所在地  新津市浦興野333
      L : 0250−22−4446
      X : 0250−24−8855
   代表者  近藤 文則
       業 : 昭和40年
   資本金  300万円
   E−mail  info@gsy.co.jp
   U R L  http://www.gsy.co.jp/